全体研修~問いで深めるリスクマネジメント~

毎年、みどり環境局主催、YPC共催で「リスクマネジメント研修」を行っていますが、今年は9月19日にさくらリビング研修室にて開催しました。

今回のテーマは「ダイナミック・リスク・ベネフィット・アセスメント」と事例検討。

みどり環境局の職員の方々とプレイリーダーやプレイパーク運営者が同じテーブルで、「危険な場面にどう対応するか」ということや「実際に起きた事例に対して深める検討をすること」について考えました。

講師は、日本冒険遊び場づくり協会代表でフリーランスのプレイワーカー、関戸博樹さん。

子どもが自由に挑戦できる遊び場を守り続けてきた経験から、「リスク」とどう向き合うかについてお話いただきました。

  • リスクとハザードは違う
    リスクは挑戦の中にあり、子どもが育つために必要なもの。
    ハザードは腐食・落下・突起物・引っ掛かりなど、事故につながる危険要因。これは減らす努力が必要。
  • ダイナミック・リスク・ベネフィット・アセスメント
    「観察 → 判断 → 介入」の流れを大切にしながら、遊びを止めるのではなく遊びの方向性を維持しつつリスク管理をしたり、遊びの再構築をしていく。
    子どもの「やってみたい」を尊重しつつ、大けがを防ぐ工夫が求められる。
  • 危険管理は“ダダ漏れ”に
    大人が「怖い」「不安」と感じたら、心の中で抱え込まずに言葉にして共有すること。
    それが場の安全につながると同時に、子どもの挑戦をむやみに止めてしまうのを防ぐ。

後半は、現場で実際に起こった場面を取り上げて事例検討をしました。

あらかじめ、申し込み時に「現場での対処に困った、迷った、具体的な事例」「その時なぜ困った、迷ったのか」を記入してもらいました。その中で
「焚火に石を入れたい」「小学生同士の喧嘩」「ハンモックの飛び越え」が事例としてあげられ、それぞれの人が説明するところからワークがはじまりました。説明後に他の人たちに質問してもらいます。

ワークではこんな問いかけが飛び交いました。

  • 「その時、子どもはどんな表情をしていましたか?」
  • 「止めようか迷った瞬間に、あなたの心の中で何が起きていましたか?」
  • 「その場にいた他の子どもや大人は、どんな反応をしていましたか?」
  • 「今振り返ってみると、別のやり方もありましたか?」

質問に答えた後、講師が板書してくれた内容を改めて読み、どう思ったかを話して終了。

なんと!“アドバイス”ではなく“質問”で深めていく手法。
こうした質問を受ける中で、事例を出した本人が「自分は怖さを感じていたのに、それを誰にも伝えていなかった」と気づいたり、
「止めることばかり考えていたが、遊びの形を変えて続けさせる方法もあった」と振り返る場面がありました。

ただ出来事を説明するだけでは見えなかった内面が、問いかけを通して言葉になり、全体の学びとして共有されていったのが印象的でした。

 

ワークの感想として

  • 質問形式が新鮮でわかりやすかった。アドバイスよりも問いかけの方が、自分で答えを見つけられる感覚があった。
  • 多様な質問が集まると視点が広がる。一人では見えない角度から事例を捉え直せて、考えが深まった。
  • 「正解を求めるのではなく、その時その場で感じたことを共有する」という進め方が安心感につながった。

等があがりました。

全体の感想としては

  • リスクと思うレベルは人によって違う。だからこそ気持ちを共有することが大事。
  • プレイパークは“リスクを経験する場所”であることを改めて確認した。
  • 「やってみたい」を止めずに、どうすれば安全に続けられるかを一緒に考える視点が必要。
  • ヒヤリハットの小さな出来事も共有することで、ハザードに気づく力が育つ。

 

今回の研修を通して、「リスクをゼロにする」のではなく「子どもの挑戦をどう支えるか」を考え直すことができました。

遊び場は、大人が一方的に管理する場所ではなく、子どもの挑戦と大人の見守りが対話しながら形づくられる場所。
事故やトラブルが起きたときの対応も含めて、経験を仲間と共有し積み重ねていくことが、プレイパークの豊かさにつながるのだと感じました。

 

参加されたみどり環境局のみな様から「リスクに挑戦できる機会の大切さ」や「事例を共有するプロセス自体が財産だと思う」と感想をいただきました。現場での悩みや工夫を互いに学び合うことが、新たな気づきにつながったとのことです。

あらためて、この研修を主催してくださったみどり環境局の皆様、共に場をつくってくださった参加者の皆さまに感謝申し上げます。